この度歯科用CAD/CAM システムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴が先進医療から健康保険に導入され、小臼歯に対し保険適用となりました。
今までは金属冠(いわゆる銀歯)しか認められていませんでしたが、前歯、小臼歯、第一大臼歯に限り保険で白い冠(かぶせ)が出来るようになりました。銀歯が気になる方はこの機会に白い冠に交換してみては如何ですか。
CADCAM(キャドカム)冠とは
歯科用のCAD/CAM(コンピューター支援設計・製造ユニット)装置を用いて制作されたかぶせもののことです。材料の白い色の歯科切削加工用レジン材料(ハイブリッドレジン)のブロックから削り出して作成します。
これまで保険で出来る白い被せ物は,プラスチックの冠のみで,大変割れやすく実用性がありませんでしたが.今回のCADCAM冠は,物性の安定したレジンブロックをコンピューター制御で削りだして作製されるものでかなり強度が増しています.
CAD/CAM冠のメリット
・白い色をしているので自然に見えます。
・天然の歯より柔らかいので噛み合う相手の歯にやさしいです。
・保険適用なので安価です。
・金属アレルギーを起こしません。
CAD/CAM冠のデメリット
・保険適用は前歯、小臼歯と第二大臼歯四本がある場合に限り第一大臼歯です。
・白いですが色調が単調です。
・変色や摩耗が起きやすいので長持ちしません。
・強度が低く割れやすいので力がかかる歯には使用出来ません。また、義歯を支える歯(金具がかかる歯)にも適していません。
・連結冠やブリッジには適用されません。
Q&A
Q.どんな色でもできますか?
A. A2 A3 A3.5 の三種類が可能ですが隣の歯と同色にはなりません。
Q.保険のCADCAM冠はどの歯にも出来ますか?
A. 原則は前歯、小臼歯、第二大臼歯が四本揃っている場合に限り第一大臼歯にも可能です。また、歯科用金属を原因とする金属アレルギーのある場合は大臼歯にも適用されます。この場合は専門機関での診断が必要です。
Q.費用はいくらですか?
A. 総額で3万円〜4万円ですので、その1割ないしは3割が患者様の負担額になります。よって3割負担の場合は1歯当り9,000円〜12,000円になります。
Q.金属冠(銀歯)との違いは?
A. 1番の違いは色です。金属では自然感は得られません。但し CADCAM冠は金属冠に比べて割れ易く外れ易いです。さらに経年的に摩耗や変色が起こりますので数年で作り直しが必要になるかも知れません。
Q.CADCAM冠が出来ない場合は?
A. 咬合により強い力のかかる歯、歯冠長(歯の背丈、高さ)の短い歯、義歯の支えになる歯(鉤歯)、は破折や脱離のリスクが高いので出来ません。また、ブリッジや連結冠も出来ません。